
※株価・評価指標は原則として2026年9月11日米国市場終値時点です。
オラクルとは?
オラクル(Oracle Corporation/NYSE:ORCL)は、企業向けデータベース、業務ソフト、クラウドインフラを提供する世界的IT企業です。
従来はデータベース大手として知られていましたが、現在は「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を成長の柱に据え、AI向けデータセンターへの巨額投資を進めています。
AmazonのAWS、Microsoft Azure、Google Cloudを追う立場ですが、大規模AIモデルの学習に必要なGPUクラウドで存在感を高めています。
基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | Oracle Corporation |
| ティッカー | ORCL |
| 上場市場 | NYSE |
| 業種 | クラウド・ソフトウェア |
| 決算期 | 5月 |
| 株価 | 150.28ドル |
| 時価総額 | 約4,376億ドル |
| 実績PER | 約27.0倍 |
| 予想PER | 約18.6倍 |
| 年間配当 | 2.00ドル |
| 予想配当利回り | 約1.33% |
| 52週高値 | 329.50ドル |
| 52週安値 | 114.50ドル |
| 次回配当権利確定日 | 2026年10月9日 |
| 次回配当支払予定日 | 2026年10月23日 |
2026年9月11日の終値は150.28ドル。52週高値329.50ドルから約54%下落しています。
同日は好決算を受けて一時165.80ドルまで上昇しましたが、設備投資や資金調達への警戒から上昇分を失い、前日比約1.7%安で取引を終えました。オラクル公式「株価情報」
最新決算の業績ハイライト
オラクルは2026年9月10日、2027年度第1四半期決算を発表しました。
| 項目 | 2027年度第1四半期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 193.45億ドル | 30%増 |
| クラウド売上高 | 116.07億ドル | 62%増 |
| OCI売上高 | 74億ドル | 121%増 |
| クラウドアプリ売上高 | 42億ドル | 10%増 |
| GAAP営業利益 | 67億ドル | 57%増 |
| GAAP純利益 | 47.60億ドル | 約63%増 |
| 調整後純利益 | 58億ドル | 34%増 |
| GAAP EPS | 1.56ドル | 55%増 |
| 調整後EPS | 1.92ドル | 30%増 |
最大の注目点は、OCIの売上高が前年同期比121%増加したことです。
AIモデルの学習・推論に使われるGPUクラウド需要が急拡大し、クラウド事業が全売上高の約60%を占めるまでに成長しました。
一方、従来型ソフトウェア売上高は55.5億ドルで3%減少しました。顧客がオンプレミス型ソフトからクラウドへ移行している影響です。オラクル公式・2027年度第1四半期決算
巨大化した受注残
オラクルのRPO(残存履行義務)は、2026年8月末時点で6,640億ドルに達しました。
RPOとは、すでに契約したものの、まだ売上高として計上していない将来の契約金額です。前年から2,090億ドル増加し、第1四半期だけで300億ドルを超えるAIクラウド契約を新たに獲得しました。
将来の売上高に相当する契約残高が年間売上高の約10倍ある点は、オラクルの大きな強みです。
ただし、RPOは直ちに売上高や利益になるわけではありません。必要なデータセンターを建設し、GPUを調達してサービスを提供する必要があります。
今後の業績予想
2027年度第2四半期予想
| 項目 | 会社予想 |
|---|---|
| 売上高成長率 | 30~34% |
| クラウド売上高成長率 | 65~71% |
| 調整後EPS | 1.85~1.93ドル |
| 調整後EPS成長率 | 21~25%※ |
※前年の一時的な投資利益を除いた比較。
2027年度通期予想
| 項目 | 会社予想 |
|---|---|
| 年間売上高 | 少なくとも900億ドル |
| 売上高成長率 | 前期比約34%以上 |
| 調整後EPS | 8.10ドル |
| 設備投資計画 | 約920億ドル |
2026年度売上高673.57億ドルに対し、2027年度は900億ドル以上を見込んでいます。
一方、設備投資計画は約920億ドルと、年間売上高予想を上回る規模です。この投資負担をどう回収するかが、今後の株価を左右します。
評価指標
| 指標 | 2026年9月11日時点 | 評価 |
|---|---|---|
| 実績PER | 約27.0倍 | 成熟企業としては高め |
| 予想PER | 約18.6倍 | 成長率を考えれば割高感は限定的 |
| 概算PBR | 約6.5倍 | 純資産基準では高い |
| 配当利回り | 約1.33% | 配当目的にはやや低い |
| 予想EPS | 8.10ドル | 2027年度会社予想 |
| 52週高値からの下落率 | 約54% | 大幅調整済み |
予想PERは、株価150.28ドルを会社予想EPS8.10ドルで割ると約18.6倍です。
売上高30%以上、クラウド売上高60%以上の成長を考えれば、バリュエーションは極端に高くありません。
ただし、現在の利益にはまだデータセンター投資の全負担が反映されていない可能性があります。PERだけで「割安」と判断するのは危険です。
投資する3つのメリット
1.AIクラウドが年率121%で成長
OCI売上高は前年同期比121%増と、AWSやAzureを上回る高い成長率を記録しました。
AI計算資源の需要が供給を上回るなか、オラクルは大規模なGPUクラウドを提供できる有力企業になっています。
2.6,640億ドルの巨大な契約残高
すでに契約済みのRPOが膨大で、中長期的な売上高の見通しが立ちやすくなっています。
AIブームが一時的に落ち着いても、既存契約が一定期間の業績を支える可能性があります。
3.データベースとクラウドを一体提供できる
オラクルは企業の基幹システムで長年使われてきたデータベースと業務ソフトを持っています。
既存顧客をOCIへ移行させたり、企業データを活用する生成AIサービスを販売したりできるため、単なるデータセンター事業者ではない点が強みです。
安全性・収益性指標
2026年8月31日時点の財務状況は次のとおりです。
| 項目 | 金額・指標 |
|---|---|
| 現金及び現金同等物 | 363.69億ドル |
| 市場性有価証券 | 7.08億ドル |
| 総資産 | 3,032.59億ドル |
| 株主資本 | 671.96億ドル |
| 自己資本比率 | 約22.2% |
| 有利子負債 | 約1,253億ドル |
| 流動比率 | 約1.17倍 |
| 第1四半期営業CF | 231.03億ドル |
| 第1四半期設備投資 | 284.99億ドル |
| 第1四半期FCF | マイナス53.96億ドル |
営業利益と営業キャッシュフローは大きく伸びていますが、設備投資がそれを上回り、フリーキャッシュフローは赤字です。
有利子負債は現金を大幅に上回っており、マイクロソフトなどと比べると財務安全性は低めです。
取引前に理解すべき注意点とリスク
1.設備投資が巨額
2027年度の設備投資計画は約920億ドルです。GPUやデータセンターの需要が想定を下回れば、減価償却費や金利負担だけが残る可能性があります。
2.フリーキャッシュフローが赤字
第1四半期のFCFは約54億ドルの赤字でした。利益が伸びていても、手元資金が同じペースで増えるとは限りません。
3.借入金と株式発行
有利子負債は約1,253億ドルに達しています。また、第1四半期にはATM方式で200億ドルの普通株を発行しました。
今後も株式発行が行われれば、1株当たり利益が希薄化する可能性があります。
4.大口顧客への依存
巨大なAI契約は成長を支える一方、少数の顧客に契約が偏っている可能性があります。契約変更、支払い遅延、設備稼働の遅れが業績に大きく影響します。
5.クラウド大手との競争
AWS、Microsoft Azure、Google Cloudとの競争は激しく、価格競争によって利益率が低下する可能性があります。
6.経営陣による株式売却
共同創業者ラリー・エリソン氏は、2026年10月末までに最大75億ドル相当の株式を売却する計画と報じられています。売却自体が業績悪化を意味するものではありませんが、短期的な需給悪化要因になり得ます。Financial Times
今から買うのはアリ?
結論として、オラクルは「株価150ドル前後なら中長期投資候補。ただし、一括購入ではなく分割購入が適切」と考えます。
OCIの121%成長、6,640億ドルの受注残、予想PER約18.6倍は魅力的です。株価も52週高値から約54%下落しており、過熱感は大幅に後退しました。
一方で、年間920億ドルの設備投資、有利子負債約1,253億ドル、FCF赤字、株式発行という重いリスクがあります。
投資する場合は、例えば次のような分割が現実的です。
- 150ドル前後で予定資金の25%
- 140ドル台まで下落した場合に25%
- 次回決算でFCFと設備投資を確認して25%
- OCIの利益率改善を確認後に残りを追加
今のオラクルは、安定した旧来型ソフトウェア企業ではなく、「巨額投資を伴うAIインフラ成長株」に変化しています。
売上高だけでなく、設備投資、フリーキャッシュフロー、借入金、株式数、大口顧客の分散を確認しながら投資したい銘柄です。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は最新情報を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。